春山海事法務事務所

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船舶無線局(国際VHF)「呼出符号の変更」手続き
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 ここでは、船舶無線局の「呼出符号の変更」手続きという少々マニアックな手続きについてご紹介したいと思います。船舶無線局は船名が呼出符号になります。私の場合平成25年9月に行った定期検査において船名を「LOVE」から「くじら12号」に変えたため、それに従い呼出符号も変更する手続きを行うこととなりました。そうそう経験できないマニアックな手続きではありますが、だからこそあえてご紹介していきたいと思います。

1. 船名変更 2013.9.30.

 私の船である「くじら12号」が定期検査の時期となり、2013年9月30日に検査切れ約3ヶ月遅れで定期検査を受検しました(くわしくはこちらを参照)。このときについでに船名を「LOVE」から「くじら12号」に正式に変更しました。これまでは船舶検査証書上の船名が「LOVE」だったので、国際VHF船舶無線局の呼出符号は「らぶ」となっていました。しかし、「らぶ」ではちょっと小恥ずかしいですね。

「第一○○丸、こちらはらぶ、応答願います。」

 16chは大型船の船長も聞いています。ましては外国船も聞いています。もちろん海上保安庁も。おそらくは無線室やコクピット、船長室でそんな無線をワッチされたらクス笑いされることでしょう。・・・と私は想像していたので、是非船名を変えて国際VHFの呼出符号も変えたいと思っていました。その前段階として、まずは定期検査にあわせて船名の変更をしました。

2. いよいよ手続き 2013.10.4.

 無事船舶の定期検査が終了し、新しい船舶検査証書と船舶検査手帳が届いたので、すぐさま私の住所地を管轄している関東総合通信局に呼出符号の変更手続きを行いました。管轄は、総務省/関東総合通信局/無線通信部/航空海上課になります。そして手続きに当たり、あらかじめ航空海上課に連絡をしたのですが、「呼出符号の変更」という届出行為そのものも、そうそうあるものではないらしく、担当者も電話口でマニュアルを確認しながらの応答となりました。そこで最終的に提出した書類は以下のとおりになりました。

 提出書類 

 船舶局変更申請(届)
 
無線従事者選(解)任届
 
船舶検査証書のコピー
 
無線局事項書及び工事設計書
 ここで重要なのが「無線局事項書及び工事設計書」の記載になります。ここに呼出符号の変更に関する詳細を記載していきます。ただし写真でも墨入れしているように本サイトでもその記載方法に関して詳細にお伝えすることはできません。ここの書き方こそ、われわれ士業者のプロとしてのノウハウの部分でありますので・・・企業秘密です。
 ご自身でもできなくない手続きではありますが、間違った記載をすると「呼出符号の変更をしたい」という本来の目的が達成されませんので、ここは是非プロに頼むこととしましょう。

3. いよいよ新無線局免許状の到着 2013年10月26日

 提出から20日ほど経ってようやく新免許状が届きました。ただし、いくつか記載漏れや記載ミスがあったようで、捨印欄に「○時抹消○字訂正」のハンコが押されて返ってきました。昭和から平成初期にかけて役所に勤めていて、手書き文書を多く取り扱っていた公務員なら「○字抹消○字訂正」記載のルールを知っていることでしょうが、そういえば最近はめっきり見なくなった表記でした。役所で文書を扱っていても年に何回かしか使わない表記ですので、すっかり私も記憶から飛んでいました。間違えたところは算用数字の使用方法と航行区域の記載でした。
 さあこれで正式に「くじら12ごう」は国際VHF局の呼出符号として認められました。私の出航時には是非16chで呼んでくださいね。通船としてすぐに訪船し、船を横付けし、免許の書換でも雇い止め雇い入れでも何でもやりますよ。
 
無線局指定変更通知書
 
新 無線局免許状

4. 余談ですが・・・

 思ってみれば、今回船舶定期検査において航行区域を変更するまで「平水区域」で「国際VHF局開局」という全く意味のない状態であったのです。すなわち、電波法上は国際VHFの運用は海上のみですので、平水区域しか航行できない船舶に国際VHFを搭載していても、電波を出せず開局する意味がないのです。強いて言えば、遭難時(平水で遭難とはこれ如何なる状態だろうか)に緊急通信くらいしかできないのです。それも、16chで遭難信号を出して海上保安庁に出てもらっても、海上保安庁は「海上での海難ではない」との理由から船舶の存する自治体の警察や消防に連絡し引き継ぐだけなのです。だったら最初から携帯電話で110番や119番をしたほうが話が早いのです。
 しかもこうした矛盾のある全く意味のない手続きが、総務省としては可能な状態だったのです。今回、航行区域を沿岸区域に変更し、海上を航行中に無線が使える状態になりましたが、それまでは開局しても電波を出せないというおかしな状態でした。また、これからも霞ヶ浦や利根川を航行しているときは国際VHFの電波は出せませんが、それが銚子で海まで出てようやく無線の出番がきます。はたして私の船の使い方で、いったいどのくらいの時間無線が活躍することとなるのでしょうか。